フランス軍にはCarte de circulation (カルト・ドウ・スィルキュラシオン)というものがある。フランス国有鉄道が割引値段で乗ることが出来るのだ。その割引額を聞いてびっくりした。なんと75%オフの値段なのだ。実際自分たちが払う金額は、たったの25%だけなのだ。それはフランス国内に限るけれど、休暇の時や遊びに行く時に便利なのだ。もちろん仕事で移動の時にも役に立つ。うろ覚えだが確か旧軍にもそんな制度があって確か三等車は低額か只だった様な気がする。
これが下士官になると1等車にもその制度が使える様になる。なので僕は下士官になってからほとんど一等車しか使った事が無い。1等車は広くてゆったり座ることが出来て2等車には戻ることは出来なくなった。そのカードを使って一度など、土曜日の午前中の電車でパリに行き日本食品店で買い物をして昼飯を日本のレストランで食べて午後イチの電車で帰ってくるという事などしたこともあった。これはいつも素寒貧だった下士官の僕にとってはありがたかった。上級下士官になってお金に余裕ができると、その頻度は増した。自分の車はアヴィニョンの駅のパーキングに置き電車でパリまで往復して買い物をして午後にゆっくりまたアヴィニョンへ戻ってくる。そんな贅沢な週末をした事もあった。でもそれはまだ先の話だ。
そんなこんなで軍曹訓練コースは続いているのだ。小隊は3個分隊に分けられた。生徒は順番で分隊長役をやりそれの繰り返しであったけれど、自分がどこの分隊かわからないので3つの任務を知らなければならなかった。フランス語が得意では無い僕にとっては大変であった。これは最終試験のためであった。ド・カルモ先任が小隊長役をやって僕らに無線機で命令を出す。その無線も聞かないとならなかった。教官たちが各分隊に付いている。その戦闘訓練が終わると各分隊に分かれて講評を聞く。命令の出しかたなど色々な分野について講評を聞くのだ。この戦闘訓練はその後の軍曹としての仕事の仕方にとても役に立った。
こうして軍曹訓練コースは進んでいった。
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