B168 歌を歌うにはワインが足りなかった・・・

1990年5月21日(月)

移動ばかりで体が鈍っていたので、今朝は10キロほどの駆け足だった。宿営地についた途端ものすごい雨が降ってきた。気温も下がってきてとても寒い。

今日の午前中は診療所の外側の壁のペンキ塗りだけれど、今朝は診療があるらしく午後にする事になった。昨日同様壁の洗浄をして乾いたらすぐローラーで塗る。

 

今日は僕の23回目の誕生日だったので、夕食の時中尉が見ているのも気にせずワインをたくさん飲んだ。サヤサン伍長が「おっ、カワ、何か良い事でもあったのか?」としきりに聞いてくるので「誰にも言わないでくださいよ、伍長。今日は僕の誕生日なんです。」と言ったと思ったら中尉の方を向いて大声で「今日はこいつの誕生日らしいです!」と言ったので1発でみんなの知るところとなった。なんともう一人、ポルトガル人のアセンカオ伍長も今日が28回目の誕生日だという事がわかった。

 

 

Vin rouge vin de pays de l'Aude - le cubi de 5 l - Vos courses en ...

僕と彼は各自の国の言葉で何か歌うという事になってしまった。「同期の桜」でも歌おうかと思ったけれども、長い歌はしらけると思ってもう少し短い歌があったのを思い出した。自衛隊にいた時に覚えた「歩兵の本領」を歌う事にした。全部ではなく1番だけでお茶を濁そうと考えたのだ。僕はワインを飲んで少し良い気分で酔っ払っていたのでみんなが「椅子に乗れ!椅子に乗って歌え!」というのでその通り椅子に乗った。中尉が「オイカワ 、何を歌うんだ???」というので、「日本軍の歩兵の歌を歌います!」と言った。みんなシーンとして僕を見ている。「万朶の桜か襟の色〜」少し恥ずかしかったけれど、誕生日ぐらい何か記憶に残ることをしても良いじゃないかという気になっていたので、10番まである歌詞のうち2番まで歌った。アセンカオ伍長は、恥ずかしがって結局歌わずじまいであった。ワインが足りなかったのだろう。僕の方は良い感じでワインが回って良い気分だった・・・。

 

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