B079 1989年7月9日(日)路地裏で仕事している女の子と仲良くなれなかった外人部隊兵

昼近くに起きた。そしてすかさずバーへ入った。暑くてすぐに喉が渇くのだ。12時を回って腹が空いたという事で、僕が昨夜行ったレストランへ行く事になった。3人で色々と注文した。昼だったけれど3人だったし当然の事のようにワインも注文した。昼食後はお腹もいっぱいになったから、公園のベンチでウトウトした。制服なので目立たない様にしなければならないのに目立ってしまってウトウトしているところを見られて笑われた。1時間ぐらいして再びバーのハシゴをした。今回の外出はあまり小遣いが無かったので夕食はマクドナルドになってしまった。それにビールは連隊の酒保だと1杯2フラン50サンチーム(当時のレートで約50円)だけれど、やはり観光客が多い街なのでここではその3倍から4倍の値段であったので20時を過ぎた頃には僕らの小遣いは底を突き始めていた。

22時前にはほぼ底を突き、連隊からの迎えのトラックが22時に駅に来るという話だったので駅で待っていた。しかし40分待っても来なかったのでタクシーで帰る事になった。200フランを3人で分けて払った。ギリギリであった。

連隊について営門を通り過ぎた時に、週末のこの外出がなんだか夢での出来事の様に感じた・・・。

 

衛兵詰所から中隊に向かって暗闇を歩いている時に、シャルトンが「昨日の夜は残念だったなぁ・・・」と仕切りに言うので笑ってしまった。昼間に行ったバーで、仲良くなれていい事が出来る女の子がいるのはどの路地かをバーの店主に聞いて暗くなってから言われた通りそこの路地へ行った。確かに街灯があまりなく薄暗い路地には何人かの女の子が立っていた。しかし僕らが近づくと慌てて扉をあけて中へ入ってしまう。僕らは少しウロウロしてタバコを一服してからまたその路地に向かう。女の子たちは僕らを見つけるとまた中に入ってしまって鍵までかける。

3回目か4回目にシャルトンがその中の一人と会話する事が出来た様だった。話によると、外人部隊兵は酒癖が悪くて乱暴だからお客にならないのだそうだ。だから僕たちがかぶっている白いケピを見るとみんな中へ逃げてしまうのだった。ここアヴィニョンに来る外人部隊兵と言えば殆んどがうちの連隊だ。全くなんて事だ。そいつらのおかげで僕らはここの路地の女の子とは仲良くなれないのであった・・・。

 

これは何もここの路地だけの話ではないという事が後々わかってくる。どの辺か忘れたけれど、とあるディスコには入り口のところに「犬と外人部隊兵はお断り!」と書かれたパネルを掲げた所があったらしい。これは流石に連隊から文句が出て外されたそうだ。幾ら何でも犬と同列に語られるのもどうかと思うが当時は酔っ払って悪さをして営巣に入れられる連中が沢山いた。Police Militaire(ポリス・ミリテール=憲兵)が街中をパトロールしているという事も聞いた。

そういう奴のとばっちりを受ける事になるのはそんなに遠い話ではない。しかしこの時はまだ知らない。

 

そういえば一般の連隊では夜の掃除はなく、朝と昼のみであった。最初の夜、夕食後に神妙にしてベッドに座っていた。20時になっても「週番伍長」の掃除の合図である笛が鳴らないので「おかしいなぁ・・・」と思って上等兵のドレゼに聞いた事があった。「夜の中隊の掃除はないのか???」と言ったら、彼はいきなり笑い出して「落ち着けジャポネ!落ち着け!ここはカステルノダリーじゃないんだぞ!18時以降は食事するなり寝るなり外出するなりビールを飲むなり、好きにしろよ!」と言われてビックリした記憶がある。この一言で、改めて新兵訓練は終わったのだなぁと感じた事があった。

 

 

 

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