B080 1989年7月10日(月)3階の窓からダイブしたリッチモンド

いつも通り駆け足で始まった。午前中は連隊の近くにあるChâteau de Lascours(ラスコー城)での作業だった。夏はいろいろな催しがあるらしく、ここのお城でも音楽会か何かやるらしかった。お城の中庭に段差の付いた観客席を組み立てる作業をやった。ここのお城の土地の一部を訓練で使わせてもらっているのでその代わりに連隊は人員と労力を提供しているのだった。後に上級軍曹の時、僕の小隊長はここで結婚披露宴をやり僕も招かれた事がある。宿泊施設もあるので、外国人の部下が両親を母国から呼び寄せてここに宿泊させたりする事もある。

château de  Lascours
Château de Lascours

午後は、僕ら新兵の衣類などの員数やサイズの点検があった。サイズの合わないものなどを連隊補給庫へ行って交換した。そのあとは部屋へ戻りロッカーの整理をして終わった。

前回の外出で小遣いを使い過ぎたので酒保に行くのを控えようと思っているのだけれど、夕方作業が終わるとついつい足が向いてしまう・・・。今夜は酒保に行くと別の中隊の上級伍長や上等兵たちがビールを奢ってくれたりして色々と話が出来た。しかし今朝リッチモンドの姿が見えなかったのでシャルトンに聞いたら何と3階のトイレ・洗面所の窓から飛び降りて大怪我をして病院に送られたという事だった。酔っ払っていたのか自殺しようとしたのかは謎だった。うちの第3中隊ではこれで3人目だという事だった・・・。どういう事だ???

 

1989年7月11日(火)

 

今朝は15キロぐらいの駆け足だった!中尉が先頭で、最初はゆっくりだったけれどだんだん上りになってゆき小隊と大分離されてしまった・・・。山道はもう走っているのか歩いているのか分からないスピードになってしまった。スェーデン人のハンセン伍長に文句を言われながら何とか小隊のいる頂上に着いた。Plateau de césar(プラトー・ドゥ・セザール)という所だった。近くの村ロダンを通ってどんどん登るとここにたどり着くみたいだ。とても眺めの良い所だった。眼下にはローヌ川の他に付近の町や村が一望出来た。広範囲の葡萄畑と連隊も見える。だが連隊は遥か遠くであった。再び走って帰らなければならない・・・。

 

駆け足を何とか走り切り、シャワーを浴びて作業開始は9時半からだった。午前中も午後も小隊の倉庫の装備品の整理だった。この間まで教室として使っていた場所だ。その時見たのだけれど、重そうなでかいチェーンやピケットが沢山あった。演習後のように乱雑にそれらが置いてあったのは気が付いた。今日はそれらに錆止めのオイルを塗ったり、何が入っているのか分からない頑丈なキャンバス製の装備品のバッグなどの整理だった。

フランス人の兵卒デグラモンの話では、6月に長い演習に出ていたからだという事だった。それってもしかしてMourmelonか?と聞いたら「そうだそうだ!」と言った。僕らも参加した長期演習に彼も来ていたのだった。夜中の移動浮橋は彼らだったのだ!なんかその話で少し盛り上がって彼と口を聞くようになった。

 

今朝の駆け足でクタクタだったので、今日は早く寝たい。足が酒保に向かなければの話だが・・・。

 

 

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