B013 1989年2月5(日)2月6日(月) オバーニュへ

1989年2月5日(日)

ティガナという黒人と仲良くなった。歳は30過ぎぐらいか???外人部隊には18歳から45歳までが入隊出来る。17歳は親の承諾書が必要だ。僕の同期には17歳のスイス人がいた。新兵訓練時に彼の両親がスイスから見学に来た事があった。また、僕がまだ24歳で軍曹の時、僕の分隊には42歳の兵卒がいた。

              そのティガナの話では明日の夜僕たちはオバーニュへ向けて出発すると言う事だ。まだ簡単な事しか聞かれていないので、本格的な身元調査などが待っている筈だ。ただ、日本にいた時にテレビで見た「外人部隊特集」で紹介していたのだけれど、オバーニュには勤続年数の長い日本人のキムラさんという上級伍長がいるので、もしかしたら通訳をしてくれるかも知れない。取り敢えずオバーニュに行けば入隊出来るかどうかがハッキリわかる。もっとも入隊出来ないのは困る。何しろあと200フランと小銭が少々しか無いのだから。

1989年2月6日(月)

              朝食のあと宿舎に戻ると私服に着替えるように言われた。いよいよ今夜オバーニュへ向けて出発するのだ。

朝食の後片付けから上手く逃れたのでずっとテレビを見ていた。

              夜7時過ぎ、軍のバスに乗ってパリのリヨン駅へ向かった。駅に着くとすぐ列車に押し込まれた。ここで脱走する奴もいるからだ。夜行列車であった。8人用のコンパートメントに8人ギッシリ詰め込まれた。ガタイのいい奴もいるのでちょっと窮屈であった。時々引率の上級伍長が人数確認のため回って来た。僕らはみんな静かにしていたが、隣のコンパートメントでは騒いでいる。少し落ち着くと日本の列車との違いなどが目につくようになった。

列車の幅は広く、まだ新しいせいか凄くきれいに感じた。そんな事を考えているうちに眠ってしまった・・・。