番外編 西アフリカ某国の日記 4

2020年2月8日

 

昨日の朝は人が足りなくて同僚の「ピエロ」の朝4時のパトロールに一緒に行く事にした。休暇で出る人間が多いとあっという間に人手不足になる。「ピエロ」の相棒のフィリップが休暇に出たのでパトロール人員が足りなくなったのだった。夜21時のパトロールは元第2外人落下傘連隊のアレックスがピエロと一緒にパトロールに出たけれど、朝4時のパトロールに一緒に行く奴がいなかった。ピエロに聞いたら「フェンスの内側のルートをパトロールするつもりだから一人で行ってくるよ」と言ったので僕はすかさず「一人では絶対にダメだ。俺が一緒に行くよ。」と言って4時のパトロールに一緒に行く事を決めたのだ。

彼とは同じ連隊の爆発物処理班で仕事をしたし、部隊を除隊してからしばらくしてソマリアでも一緒に仕事をした。夕方の「ハイボール仲間」でもある。それに外人部隊では困っている仲間を見捨てる事はしない。なので僕は次の日はパトロール番だったけれど、ピエロ一人だけのパトロールに行かせるわけにはいかなかった。場所によって無線機が使えない場所があったし、何か不測の事態が起きた時に一人では危険だ。だから僕らは装填した銃を携行しているのだ。

 

無事パトロールを終えて朝食をとったら今日はパトロール番なので、今度は相棒で正規軍の第17工兵落下傘連隊のコマンドグループにいたジャンと2時間程のパトロールに出た。ジャンは最初のうちは素っ気ないやつだったけれど、毎日一緒にいるしお互いの話をするうちに冗談も言う様になりトヨタの中でよく二人で大声を出して笑う事もあった。彼は特殊作戦に関わった経験が多いのでいろんな話を聞かせてもらったし僕は僕で外人部隊にいた時の話やソマリアでの仕事の話などをした。

 

午後は最近よく行く別のサイトの入り口にテロリストの車爆弾を防ぐための「シケイン」の障害を作る作業をした。炎天下でなかなか大変だった。100トンダンプの古タイヤを使って実際に100トンダンプトラックが通る事が出来るかをテストしてタイヤを置く位置を決めた。そしたら今度はショベルカーを積んだ超大型トレーラーがやって来た。案の定100トンダンプはどうにかシケインを通過出来るのだけれど、トレーラーはそうはいかなかった。慣れた運転手だったけれど再び「シケイン」用に置いたタイヤの位置を変えなければならず何度もやり直しをした。

夜は20時のパトロールに出た

。特に何もなかった。2月8日今朝4時のパトロールの事であった。僕はTシャツの上に袖はまくってあったけれど一応長袖のシャツを着ていた。ジャンはと言うと普段通りのTシャツだけで「寒くねぇのかよ???」と思わずツッコミそうになった。パトロールに出る前に事務所に寄ってコーヒーを飲んだ。彼はジンジャー・ティーを作っていた。僕がコーヒーを飲み終わったのを見てジャンが「行くか?」と言ったのでトヨタに乗り込んで出発したのだが、今朝は昨日に増して寒い。最初の監視所の連中を点検し終えて再び走り出したその時だった。「寒いな、おい!」とジャンは言って徐に車のエアコンをヒーター側に回しハイにして入れた。おいおい!ここはアフリカだぞ!

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でも今朝のヒーターは僕も賛同した。日中は36、37度だけれど、明け方は18、19度まで下がる。ものすごく寒く感じるのだ。と言うより寒い。その後に回った監視所の現地の連中は冬用の防寒パーカを着ている。メインゲートに着いた時、僕は共和国保安機動隊の所に様子を見に行った。そこには大木が燃え盛っているドラム缶のストーブが絶賛稼動中であった。久々のアフリカだったので、この寒さを少し忘れていた・・・。

※安全上国名は明かしません

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