B273 引っ越し

僕は車を買うまで中隊のゲストルームのような階段脇の2人部屋に住んでいた。先住人はクンリッフという飲んべぇのイギリス人で同じ小隊だったが彼はここでの生活はもうすぐおしまいであった。第2外人歩兵連隊から来ていてもう1年の新兵訓練軍曹が終わるところであった。あとは連隊へ帰るのを待っている所だった。下士官宿舎はというと2つあって、一つは連隊が管理している(連隊の敷地内にある外人部隊が所有している)お城の隣(下士官食堂や下士官クラブが入っている)とカステルノダリの街中に2個目があった。僕はすぐに申請を出していた。車を持っている下士官でもその城脇の宿舎に入っている者が沢山いたので僕は安心していた。同僚のシュミット軍曹やチムラン軍曹は車があるにもかかわらずそこに住んでいた。しかし僕はすぐ裏切られることになる。下士官食堂などを管理している上級曹長はどこで聞いたか僕がフォルクス・ワーゲンのゴルフを中古で買ったばかりなのに早速呼びつけられて「これはお前の部屋の鍵だ!」と言われた。それは街中にある下士官宿舎の鍵であった。「マジかぁ」であった。でも仕方あるまい。「車通勤かぁ!」と引っ越すことにした。僕は荷物が結構あった。80リッターのキャンティーン1つ、100リッターのキャンティーンが3つぐらいあってそれぞれ重かった。何が入っているかというと今まで第6外人連隊で使っていた全財産が入っていた。調理用の器具もあった。ホットプレートなどもあったし、とにかく山のような荷物であった。鍵を受け取った週末に引っ越しをすることになった。シュミット軍曹が車を出してくれることになった。彼はステーション・ワゴンを持っているので僕の荷物を積むには丁度良かったのだ。中隊からパーキングまでかなり離れていたけれど、荷物運びの人夫は腐るほどいた。早い話、小隊の新兵たちだ。何人か選んで僕の部屋から荷物を運び出してシュミット軍曹の車に積んだ。荷物を下ろすときのために3、4人を車に乗せ街中の下士官宿舎へ向かった。僕は先に行って部屋の扉を開けておいた。シュミット軍曹たちが到着して荷物を下ろし始めた。新兵たちは文句も言わずただひたすらに荷物を運んだ。小隊の軍曹の引っ越しを手伝えて嬉しそうにしているのが何人かいた。「これで少しは楽に訓練させてもらえるかな???」という考えがわかった。そんな事は無いのだが(笑)とにかく荷物はどうにか運び終わった。僕の部屋にはシャワーがついていた。トイレだけは共同のやつが廊下にあった。その他寝具など点検してOKだった。荷解きは明日の日曜日にゆっくりとやれば良い。地下には洗濯機、乾燥機などがあった。これらは全て早い者勝ちなので洗濯の時間とかをちゃんと見極めなければいけない・・・。ということで引っ越しは無事終わったのであった・・・。

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