B 271 駆け足

今日は外人部隊のかけ足について話そうかと思う。まず8000TAPという言葉があってフランス軍にいたものには馴染みの言葉である。このTAPという言葉は「Troupe Aéroportée」というフランス語の略である。いわゆる「空挺部隊」とでも訳そうか・・・。これはどういう事かと言うと、空挺部隊はパラシュートで地上に着地してからが本領発揮なので、まず着地してからを話そうと思う。まず着地してから、部隊としてまとまってからやっと戦闘能力を発揮できるのだ。その時、着地だけでは無い。装具など持っていち早くまとまらなければならないのだ。そのためには「駆け足」が必要になる。背嚢、その他武器など、持って出来るだけ早く集まるためには駆け足だ。なので、外人部隊の中で屈強だったのは第2外人落下傘連隊の連中は運動能力はずば抜けていた。駆け足でも早いやつが多かった。僕が下士官訓練コースでほぼ毎週のように行っていた15Mille TAPなどは2度とやりたく無いものの中では群を抜くほどキツかったのは、戦闘服に8キロの重さの背嚢を背負って15キロ走ると言うものだった。それには装具や小銃も含まれるので、総重量は20キロぐらいはあっただろうか???とにかくキツかった・・・。もう2度とやりたくは無いものの訓練の中で一番にあげてもおかしくは無い。ただそれをやった下士官訓練コースはこの僕らが最後になった・・・。それ以降は普通に8000TAPだったらしい・・・。僕は新兵訓練でも8000TAPの経験があった。8キロの駆け足を戦闘服でFA – MASを持ってヘルメットをかぶってやるのだ・・・。生まれて初めての経験であった。「そんな事はできるわけがない!」と思っていたけれど、なんとか走り切って除隊まで漕ぎ着く事が出来たのはこの時の経験が全てであった。それにフランス軍には年に1回体力測定があり、その中の種目に8000TAPが入っているので、階級が上がっても避けて通る事は出来ないのであった。

そのほかには、連隊に配属になると、毎朝駆け足であった。それも連隊の周りが葡萄畑で走るところには欠く事はなかった。毎日走っているとそれが普通になってくるものだ。僕は日本にいた時は駆け足はあまり得意な方ではなかったけれど、フランスへ来てフランス外人部隊に入隊して毎朝の駆け足に慣れてくると、駆け足をしない日があると、何か体の調子が悪い感じがして、おかしなものであった・・・。あんなにも駆け足が嫌いだったのに・・・。不思議なものである。これを読んでフランス外人部隊へ志願入隊を考える者もいるだろう。体力勝負というのが一番なので駆け足を普段からやっておく事を勧める。戦闘服にブーツ、8キロの距離で40分が目安か???背嚢は無くても良い。どうか志願するものは頑張ってほしいね。

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