B 270 申告の仕方

駐車場にはトラックが待っていた。4日もシャワーを浴びずにいた僕らはひどい匂いを放っていた筈だがその中の1台のトラックGBC8KTのキャビンにシュミット軍曹と乗り込んだ。久々の道路はいい感じがした。何しろ4日間というものは岩だらけの道ばかりであったからだ。直ぐに見たことのある道路に出た。途中で中隊の車列と分かれて僕らは訓練場のある農場へ向かう・・・。農場へ着くと、伍長たちがテキパキと新人たちを整列させたり荷物の下ろしたりと忙しい。僕は僕の荷物を持った兵士と2階の自室へ上がる。荷物を持ってきてくれた兵士にねぎらいの言葉をかけてから、一目散でシャワーを浴びた。そして着替えてから1階へ降りた。シェフ・デュミは既にビールを手にしていた。僕も冷蔵庫へ向かい同じ事をする。新兵たちが食事の準備のため厨房で作業を始める。その間軍曹である下士官連中は、ビールを飲みながら寛ぐ。まだ訓練は終わっていないので、シェフ・アンドレスとそれについて話をする。明日からの訓練についてだった。一応今夜は軽いけれど武器手入れだけはちゃんとやるようにという事だった。そのことについて日番伍長へ指示を出す。伍長も心得ているので滞りなく新兵たちの食事も始まり、やがて武器手入れが始まったらしい。食事中の喧騒は静かになった・・・。僕ら下士官も食事だ・・・。さすがに疲れたのか、ワインの効きが早く感じた。
一応新兵たちはこれで正式に「外人部隊兵」となったので、申告の仕方が変わる事になる。志願兵何ヶ月勤務何某というところを、これからは「外人部隊兵何某、何ヶ月勤務」と言わなければいけなくなる。その練習が訓練場の農場のあちこちで始まった。外人部隊を除隊するまで「申告」の仕方は階級が変わる事はあっても申告の仕方に変わりは無い。慣れないと、言い間違いがあっては大変なのだ。これが外国人の志願者を再び悩ませる事となるのである。申告する相手は小隊長だけでは無い。中隊長ほか、連隊長やその他の上級者への申告には必ず必要な事なのだ。これは階級が上になっても付き纏う。軍曹などでも、何某軍曹、勤続年数、その階級になってどれぐらい経つのか、などを言わないといけない。これは勤続年数が多い古株の下士官などは大変だ。僕の時でも大変であった。それがたとえ勤続18年の「曹長」の僕でもだ・・・。

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