小隊に新しく新兵訓練を受けるために20人ほどの新兵がやってきた。まだ面構えは民間人そのままだった。
小隊長は、アンドレス上級軍曹で、曹長への昇進リストに載っていた。第2外人落下傘連隊出身で、その後仏領ギアナにある第3外人歩兵連隊に配属になって、そしてこの第4外人連隊へ転属してきていた。そして第4外人連隊では、憲兵隊長をしていた。僕が軍曹訓練コースの時、どこかの中隊の新兵が脱走したので応援の任務を受けて、カステルノダリーの西の大都市ツールーズの駅で見張るように、同僚の軍曹訓練コース生徒の第6外人工兵連隊出身のフランス人のラニエーと二人でツールーズの駅で私服で見張をやった事があった。ただ、その新兵のことは知らないし、一日休みができたという事で、ラニエーと映画館で映画を見たり、レストランで飯を食ったりしてなかなか有意義な「休み」を過ごして午後3時ぐらいに駅のバーへ戻った。その時の憲兵隊長が、アンドレス上級軍曹で、危なく遊びまわっているところを発見されるところであった。「異常はないです。」と調子の良い事をラニエーは報告して何もなかった。「憲兵隊の車を迎えに出すからな!」とアンドレス上級軍曹は言ってどこかへいなくなった。しばらくすると、憲兵が乗った小さな車が来て、僕とラニエーは車に乗り込み連隊へ戻った・・・。
そんなこんなで第二陣の新兵もやってきた。伍長はというと、フランス人のルジェー伍長、どこの国か忘れたが、どこかの東ヨーロッパ出身のプビャーレ見習い伍長、これも国籍は忘れてしまったがバラビエフ見習い伍長、タヒチ人のタイアル見習い伍長の4人であった。僕の分隊へはプビャーレ見習い伍長が配属になった。もう軍曹なのでこの時はほとんど仕事がない。伍長連中に任せておけば良いのは知っているし、実際そうだった。まず、各自名前、勤続年数、所属小隊など、上官の前での申告の仕方を覚えさせるのだ。それはフランス外人部隊を除隊するまでついて回る言い方なので、あちこちの新兵の居室から声が聞こえて来た。それから基本教練も始まるだろう。まず、気を付けから始まって、整列の仕方などなど。
シェフ・デュミは、新兵たちのリスト作りで忙しそうであったし、シェフ・アンドレスも個人面接で忙しかった。僕ら3人の軍曹連中はまだほとんど仕事がなくて暇であった。シュミット軍曹に聞くと、「来週にフェルム(農場)へ移動してからが軍曹は忙しい」と話には聞いていた。その農場は懐かしいレイサックという場所で、僕が新兵訓練をやったところだ。あの扉のない大部屋で、歩く隙間のないくらい敷き詰めた携帯ベッドで寝泊まりしながらの真冬の新兵訓練は、忘れようとしても忘れられない。行くのが少し楽しみであった。今はどんな風になっているのか。シュミット軍曹の話では、「なんでもあるから気にするな!」であったので、楽しみにしよう。
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