そんなこんなでクリスマスが過ぎ、年末も大した事ができないうちにUV-1(Unité de Valeur 1 本講習を受ける事ができるくらいの学力があるか???という試験)の日が来た。僕ら試験を受ける奴らは試験が終わるとすぐ発表がありすぐ講習が始まるので、装備を一切合切衣嚢の詰め込んでTGV(フランスの新幹線のようなもので、いわゆる高速鉄道)に乗り、一路Angersへ向かった。工兵学校から迎えの車が来ていてそれに荷物など詰め込み、僕たちは車上の人となった。
学校へ着くと、今夜の部屋を割り当てられた。兵士用の幅が70センチのベッドであった。それから誰ともなく明日の試験に必要なものの準備などを始めた。去年この試験を落としたセネガル人のニアスが準備のアドバイスをくれた。テストで使うボールペン、物差しなどだ。フランスでは全てボールペンなので、消しゴムなどない。身分証明書、今回の命令書などを準備した。準備はできた。あとは明日の試験を待つだけとなった。
試験が始まる前に名前、番号や、兵科を書く欄があった。正規軍の工兵は「GEN」(Génie=工兵)と書けばよかったが、僕らは外人部隊なので「INF-LE」(歩兵-外人部隊)と書かなければいけなかった。外人部隊では、たとえ糧食班の人間でも歩兵の基礎は知らなくてはいけないし、工兵だろうが事務員であろうが歩兵の基礎(小銃の扱い方など)はあると言う事でこうなっていた。
試験の内容は今まで勉強したものばかりで、解答するのに気が焦った。明日はVAB(フランス軍の正式装甲車)についての口頭試験だ。夜、飯の後は部屋に帰ってVABの諸元の復習をした。一人が問題を出して複数人が答える。中には間違う奴もいて「いや、そこは違う!」など意見を言う奴もいて、なかなかいい復習の時間だった。
朝になって、試験会場にある工兵学校から少し離れた基地に行った。控室で待っていると、民間人2人、先任曹長が一人入ってきた。それぞれ簡単な自己紹介の後「誰が俺とくる???」と言うようなことを言われ、数人立ち上がった。僕は先任曹長に当たらないように順番を待つ。だが民間人と言ってもメーカーから来ている技術者だ。下手には答えることは出来ない。数時間後、僕は民間人について行った。「まずVABの諸元を言え!」と言われ、はじまった。「全長、車幅、重量、オイルのタイプとその量」などなど・・・。途中でその民間人が質問をする。「ここのオイルレベルはどうやって測る???」とか「この時エンジンはかけておくか???」「このレバーの位置は???」「ウインチの操作方法は???」などと、専門的な質問が飛んだ・・・。僕は自分でもこんなにVABのことを知っていたのか???というくらい答える事が出来たし、自分自身に驚いた記憶がある。しかし、この試験も、2度とやりたくないものであった・・・。
試験結果の発表があり、僕ら外人部隊は全員合格であった。去年試験に落ちた第1中隊のニアス、外人部隊音楽隊にいたカナダ人のラゼリー、これも第1中隊でスペイン人のマンガス、第1中隊の上級伍長のロペス、第2中隊の上級伍長のスブル,僕の第3中隊から来ているデル・オモ、そして僕と7人だった。点数はあまり良くはなかったけれど、とにかく僕ら外人部隊は全員合格したのであった・・・。明日の朝から早速講習が始まる。この試験UV -1には、フランス正規軍からも(第17落下傘工兵連隊や第2工兵連隊そのほか多数)来ていたのですごい人数であった。
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