B180 土曜の夜は後悔する

1990年6月29日(金)

いつも通り基地の入り口のガード。特に何もなし。

 

1990年6月30日(土)

朝に軍曹が僕らに向かって「髭を剃って半袖の服に着替えて半長靴を磨いて戻ってこい!」と言った。なんの事かわからないまま宿舎に戻って、軍曹に言われた様に長袖の戦闘服を半袖のシャツに着替えて半長靴を磨き、洗面髭剃りを終えて営門の詰所へ戻った。6時近いしもう直ぐ交代が来るのになぁ・・・と、みんな訝しがっているとその訳が次第にわかって来た。なんとその訳とは、以前もそうだったが、僕らと同じ様に4ヶ月の任務で来ている第8海兵落下傘歩兵連隊が交代で来るはずが、また今朝に降下訓練があると言うので、交代は何時になるかわからないと言う事だった・・・。おまけに軍曹からこの暇な時間にFA -MASの手入れをしろと命令を受けたので、衛兵詰所の中で全員でやらせられてツイていなかった・・・。

早めの昼食を取ったところでようやく交代が来た。長居は無用だ。急いで交代して軍曹について武器庫へ向かう。その途中司令部前を通るのだが、そこで僕ら混成中隊の中隊長である、第1外人騎兵連隊から来ているロロー大尉とすれ違った。「いつも悪い日ばかりにガードに当たってしまい本当に申し訳ない。君たちは文句も言わずよくやってくれている。午後はゆっくり休んでくれ!」との言葉を頂いた。部隊兵思いのその言葉を聞いて、さっきまでのイライラがなくなり気分が良くなった。

 

夜は久々に外出だったので、僕も行くことにした。行く前は元気なのだけれど、帰るときには「やっぱり外出するんじゃなかった・・・。」と後悔するのが常だった。その一因は、現地人たちだった。「いかにして兵隊から金を巻き上げてやろうか???」と言うのがあからさまで、ビール一杯目からお釣りをごまかそうとしてとても気分が悪かった。

 

1990年7月1日(日)

昨夜の外出で飲みすぎたので、起きたのは11時を過ぎていた。何もする事がなく夕方まで洗濯などをして過ごす。夕方はバレーボールをした。適当にチーム分けをしたにしてはなかなかいい勝負ができて楽しかった。

夕食は中国人のメンが作った。鶏肉のカレーソース煮とライスで、まるで日本でカレーライスを食べている様で満足した。中尉は首都に出かけているので夕食は直ぐに終わった。

 

1990年7月2日(月)

朝は駆け足で、15キロメートルぐらいか???小隊とは離されなかったけれど、非常に疲れた。午前中はすべての無線機の手入れなどをした。フランスならば無線機の手入れなどは直ぐ終わるのだけれど、ここはアフリカだ。ラテライトの埃がすごくて、ハーネスなどは、洗濯用のブラシで掃除しないと落ちないほどだったので綺麗にするのに結構時間がかかった。

午後は武器手入れで、前回衛兵詰所で掃除出来なかった武器の掃除をしてオイルを塗った。

 

1990年7月3日

朝は駆け足ではなくバレーボールだった。

午前中は、食堂脇の窪地に、雨が降って水が溜まらない様にするための盛土を盛る作業だった。しかし、トラックで土を降し、ブルドーザーで平す作業だったので、僕は傍で見ているだけだった。

午後は雨が降って来たので作業はなく、歌の練習をした。部隊の歌は昼と夜、食事をするために食堂に行く時は必ず歌うので、そのおさらいだ。一通り歌い終えるとプリゴ伍長のオーケーが出たので解散した。

 

1990年7月4日

朝は8キロメートルの駆け足。それが終わると僕はわざと部屋に戻るのを遅らせて、工事現場に組む様な鉄パイプが組んであるところへ行って懸垂をする様になっていた。この小隊の中では僕は運動能力は低い方に数えられていたので、少しでも向上させようと思っていた。

 

運動後のシャワーを浴びて作業着に着替えて整列した。ウベール軍曹が、「特にやる事がないから、適当に仕事を見つけてやれ!」と変な命令を出した。僕とジューヴは仕方がないので、ホウキとチリトリを持って倉庫へ向かい時間潰し???のために掃除をした。

酒保で衣料品など雑貨の特別販売があったので、ポロシャツを1枚手に入れた。他にもT -シャツやバッグ、ナイフなどもあった。一角ではダイアモンドを売っていたけれど、僕は昔から宝石類には興味がなかったので観るだけ見て部屋へ戻った。

昼寝の最中に起こされて軍曹の乗ったジープ、CP20(トラックのマルモンの荷台部分に油圧シャベルの付いている物)の2台で何のためかわからないけれど穴を掘りに行くと言うのでジューヴの運転するCP20の助手席に乗って出発した。結構ひどい道で、きつい上りになるとこのCP20はポンコツで馬力がないので、4輪駆動にしなければならなかった。行きの片道だけで5、6回は4輪駆動にしなければならなくて時間ばかり食った。しかし後ろの荷台部分に乗っているシャベルはよく働いた。僕はただ見ているだけだった。ジューヴがシャベルの操作をやった。しかし、周りはコバエが沢山いてじっとしていられない程であった。

なんとか作業が落ち着いたのか、軍曹が「帰るぞ!」と言ったので帰路に着いた。基地に戻ると、あまりにも酷い道だったので、尻が痛かった・・・。

 

 

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