B175 食べ物の確認はちゃんとやれ!

1990年6月11日(月)

朝の8時半にみんな出発した。いきなりのんびりした空気になった。昼過ぎ、返事がなかなか来なくて首を長くして待っていた友人からの手紙が来た。手紙一面に元気な様子が溢れていた。

 

夕食が不味かったので、小隊宿舎の食堂に何かないかと向かった。冷蔵庫があり「ツナ缶かサーディン缶でもあるかな???」と思って扉を開けたらなんという事だ。本来こんな物がある筈がない!カニの缶詰が2つあった。腹が減っていたし「ラッキー!」と思い、一気に2つ共開けて食べてしまった。その時であった。僕が一番嫌いなフランス人のプロボが「お前、何食ってんだ???」と聞いてきた。続けて「それ、誰が買ってきたか知ってんのか???俺がわざわざ食堂脇の食料品倉庫で買ってきたんだぞ???」と言って近づいてきた。気に入らない奴に文句を言われてカチンと来たけれど非があるのは僕の方だ。もうほとんど食べ終わっていた。

急いで食堂脇の食料品のところへとって返した。いつもニコニコしていて挨拶も返してくれる食堂係の正規軍の伍長がいた。彼に自事情を話したら「ついて来い!」というので後ろについて行くと食料品倉庫に案内してくれた。「缶詰は何個といった???」と聞くので「2個です。」というと「曹長には見つかるなよ!」、「さっさとポケットに入れて。金はいいから。」と缶詰を2つ僕にポンッポンッと投げて寄越したのだった。

 

急いで小隊の食堂に取って返して今さっきもらった缶詰を取り出してテーブルに置いた。プロボはまさか僕がこんなに早く何の問題もなく同じカニの缶詰を2個も持ってこれる訳が無いと思っていてこれも支援中隊から来ているあまり好きではないハンガリー人のバッスと二人で話しているところだった。缶詰を置いた僕は無言で食堂を立ち去った。

自分が蒔いた種なのだが、あ〜!二人とも気分が悪い奴らだ・・・。

 

部屋はみんな今朝作業に出発して僕一人なので、酒保へ行ってビールを買い込み、ビールを飲みながら今日来た友人の手紙の返事を書いて過ごした。

 

食堂の正規軍の伍長は僕らとほぼ同時期にここに来たらしくほとんど毎日顔を合わせた。この缶詰事件以来毎日挨拶するようになった。本当にこの事件でかお世話になった。

 

この第2小隊はアジア人に偏見を持っている連中が結構いた。僕の第1小隊ではそんな事は無かった。なので本当に早くフランスに帰って自分の小隊に戻りたかった。この時期が最悪の時期だったのは日記を見なくても思い出される。あまり思い出したくない頃の話だ。

 

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