番外編 西アフリカ某国の日記 11

2020年3月2日(月)

カントリー・マネージャーのジェフの計らいで3月2日から仕事が出来る様にしてもらっていた。チーフ・トレーナーのファイが言うには、装甲車ドライバーの訓練担当が来られなくなったので、僕の本来のトレーニングであるC-IED(Counter-IED、対IED の訓練コース、スタートは3月16日から)が始まるまで1週間だけ装甲車ドライバー・トレーニング・コースを手伝ってくれないかと言う事なのでもちろんOKした。今日は初日なので、ここの軍の関係者と顔合わせして訓練内容を確認した。それと一緒に訓練に使う装甲車の下見をした。

 

昼過ぎに事務所に戻ってデブリーフィングの時に実は1週間ではなく2週間とジェフに言われ思わずファイを睨んだ。

それから今回の契約で書類が足りないと言う事でその話をした。必要な書類が揃わないと給料が出ないのは知っていた。その間ホテルでじっとしているつもりは全く無いので、とりあえず無給でもいいから必要なトレーニングは行うとジェフに告げると彼は喜んだ。書類を整えて然るべき支払いがなされる様に約束してくれた。必要な書類は、警察の前科が無いかどうかと言うポリス・レコード、薬物テスト、個人ファイル用に記入する書類、支払いを受けるための口座証明などだった。僕は既にこの「西アフリカ某国」に来ていたので、僕が持っていなくて足りない書類は薬物テストだけだった。事務方のルーの付き添いで、この国の国際医療センターに行って検尿をして翌日結果を受け取って、ルーが全ての書類を会社の本部に送ってくれた。

訓練キャンプを出てホテルに戻る。車で30分ほどだ。2018年の時は首都の真ん中のホテルで45分の道のりだったけれど今回はその点では楽だしホテルのレベルも上がった。

2020年3月3日(火)

授業内容がはっきりしないのに授業を始める羽目になってしまったけれど、一応講義内容のスライドは早起きして急いで目を通したので今日はなんとか凌げるだろう。ホテルに戻ったら他の授業内容にも目を通さなければならない。それと、最近はIED(簡易爆発装置)による被害が多くなって来ているので、装甲車といえど安心してはいられない。

物によっては装甲車の装甲を貫く。それらの危険性も装甲車のドライバーに説明する。

電気の通っていない広い屋根だけの「教室」で授業をする。僕の授業の「武器」は4種類のマーカーとホワイト・ボードだ。生徒に書かせ過ぎない様にしなければならない。ノートする事ばかりに気を取られて授業を聞いていないと言うのは最悪だ。スライド(パワポ)も使うけれど、パワポは授業のサポートの道具で、それをメインに使ってはいけない。メインは自分の知識と経験だ。今回は「パワポ」なし。マーカーとホワイト・ボードだけだ。よくボードに絵や図を描く。かなり好評で、いつの間にかそれらメインで授業をする様になった。なので生徒たちはそれらの「絵や図」をノートに書くだけでよい。あとは自分の言語で説明を追加するのだ。このおかげでテストの成績が上がったから、あながち間違った方法では無いだろう。前回の仕事でもジェフが驚いて感心していた。

一緒の授業を受け持っていたアメリカ軍のEODの少尉が「そう言う教育方法はどこかの学校で覚えたのか?」と何度も聞くので、たった一言「フランス外人部隊で覚えた」とだけ答えた・・・。

 

※安全上国名は明かしません

 

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