B106 メロン泥棒

1989年9月13日(水)

              6時起床。7時に出発した。目的地などの名前もわからず、山を2つぐらい超えた林の中に停車した。そこにはズィグレール曹長の管理小隊がいる場所だった。偽装用に付けた木の枝の葉っぱが枯れているので、2日ぐらいここにいたのかな?

昼食にやっと番号の違うレーションが配られた。明後日までの辛抱だ。今日も一日中待機か???

16時ごろ、地雷を敷設するために出発した。曇っていて小雨がパラついている。しかし一つ山を越えると太陽が出て来て少し暖かくなった。田舎道に地雷を埋めている傍でモジェール上級軍曹が何かやっている。なんと畑の「メロン」を失敬して食べている。地雷の敷設作業を終えると皆畑に入ってメロンやブドウを取っている・・・。10数個のメロンとレーションの入っている段ボール箱半分ほどの葡萄を失敬して出発した。

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今夜も山の中で寝るのでひどく寒い。夜中1時から2時までのガードだ・・・。

 

1989年9月14日(木)

 

6時起床。30分もしないうちに出発。山の中腹に停車して管理中隊の連中と合流。その時間を利用して髭を剃りすぐ出発した。2時間ほど走り湖のそばに停車。快晴だ。しかし肌寒い・・・。昼前に運河のそばにNBC除染機材を設置した所で今回の演習が終了した。夕食も取らずに他の小隊と合流してオランジュ(Orange)に向けて出発との事だった。暗闇の中、真っ直ぐな田舎道にライトをつけた数十台の装甲車が並んでいる様は映画どころの眺めじゃない。壮観だった・・・。皆眠ってしまったようだった。僕はウォークマンを出して気に入っている曲を聞いた。まるで映画の世界に入ってしまって、ウォークマンから流れる曲はエンディングの曲のようで、車列のヘッドライトが連なる景色がとても印象に残っている。0時少し前にオランジュの飛行場についた。2人1組でガードにつく事になった。なんと今回は最終の番で起床30分前からのガードだった。5日ぶりに半長靴を脱ぐことができる。今夜はゆっくり寝られそうだった。

 

1989年9月15日(金)

ガードのために起こされた。急いで準備してガードに立ったのだが、周りを見てびっくりした。ものすごい数の車両だ!今回の演習に参加した全ての連隊が集結したのだった。夕方には師団長の将軍が演習終了という事で来るらしかった。僕ら第6軽装甲師団の歩兵、騎兵、砲兵、工兵、外人部隊からは3個連隊、正規軍から4個連隊の計7個連隊、総勢4700名という発表が夕方集まった時にあった。端の方に並んでいる連隊の人間が全く見えないほどだ。写真でしか見た事がない光景だった。

師団長の終了の言葉などあったけれど、すでに1時間ぐらい立ちっぱなしで足が痛い・・・。

僕らの中隊は演習が終わったばかりなのに勤務中隊に当たっているので終了後は急いで連隊に向かった。

全ての装備を小隊倉庫にしまって夕食をとったのは22時を過ぎていた。

土日は洗濯や制服のアイロンがけで忙しいだろう・・・。

 

1989年9月16日(土)

午前中は昨日の続きで装備品の整理だった。しかし僕は午前一杯、まだ使っていないジェリ缶のガードで終わってしまった。午後は演習帰りの武器手入れだった。拳銃、小銃、携帯式ロケット砲、重機関銃、小隊の全ての武器だ。16時過ぎまでかかったので、せっかくの土曜日の午後は潰れてしまった・・・。

夜はいつもの如く日本人3人で集まって演習お疲れさんの乾杯をした。

 

読んでくれた人、ありがとう

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