B072 1989年6月25日(日)夏時間になったけれど「自分以外信用するな!」

4時過ぎに起床。6時にはすべて準備が整いあとは出発するだけだ。今日は本当にカステルノダリーへ着くらしい。しかし朝食無しで4時間近く走ってトラックに乗っている僕たちは全員死にそうな顔をしていた・・・。やっと10時過ぎに休憩で停車した。コーヒーを飲んでレ=ションのクラッカーを食べてやっと元気を取り戻した。それからは昼食もそこそこに走りに走って16時ごろやっとカステルノダリーの連隊に戻った。でも懐かしいとかそんな気持ちにはならなかった。とにかく疲れた・・・。

 

武器を武器庫に返納して残りの物品の返納だ。無くし物をした輩には気をつけなければならない・・・。こいつらは平気で人の物を盗む。よく「自分以外信用するな!」と外人部隊では言うけれど何も外人部隊だけではない。一歩家を出たらそれぐらいの気持ちでいないといけないと言う事だ。「こいつはいい奴だし仲もいいから裏切らないだろう」と言うのは何年もきつい同じ訓練をして同じ経験をして初めて言える事で、たかが4ヶ月で信用してはいけない。

一緒に酒を酌み交わして親しくなりこいつはいい奴だと思っても、そう思っているのは自分だけだ。自分のことを「こいつはなかなか俺のことを信用してくれない!」と皆に思われる様になって初めて向こうも「こいつには信用してもらいたい」と思う様になる。じゃないと訓練や日常生活も上手く回らなくなるのだ。向こうもそれが分かっているからそこから信用関係が少しずつ出来てくる。僕はかなりのあいだ小隊の連中に「お前は誰も信用しないのか?」と言われた。ただ何人かは「お前が正しい。あいつとあいつは信用するな!」と言ってきてくれる様になる。言ってくれた連中は除隊後の今でもFacebookなどでつながりがある。

 

5時半過ぎにはすべて返納し終わった。連隊にいるにも関わらず今夜も夕食はレーションだ・・・。

中隊の掃除当番にさせられた。中隊当直室を掃除してゴミを裏の大きなゴミ箱に捨てるために中隊の建物を出た時に変な感覚に襲われた。20時ごろだったと思う。まだ全然明るいのだ。腕時計を見ても20時を回っている。時計の針が間違っているのかと何回も見たけれど隣の中隊でも掃除をしている。おかしいなぁ・・・と考えを巡らせていると!あぁ!これが夏時間か!と改めて気がついた。自分の腕時計に合わせて行動しているわけではなかったので全く夏時間だと言う感覚が無かったのだ。すべて命令で動いていたので全くびっくりした瞬間であった・・・。 3月の末から夏時間であったが全く気付かずに過ごしていたのだった・・・。

 

1989年6月26日(月)

 

久々に食堂での朝食だ。たっぷりのパンとコーヒーで満足した。1ヶ月ぶりの連隊朝礼の後は衣嚢に必要ない衣類を詰めてオバーニュの第1外人連隊へ行く準備をした。来た道を戻るのだ。そして一般の連隊に配属されるのだ。

ルアール伍長に小包について頼んだけれど「後で!」とか「明日だ!」とか言われて話にならないので明日軍曹に頼んでみようかな。

 

読んでくれた人、ありがとう

 

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