B024 1989年2月21日(火)〜 オバーニュにてその2 見知らぬ軍曹と伍長

ある朝の集合の時、制服をピシッと決めた見知らぬ軍曹と伍長が立っていた。右胸にある連隊記章を見るとどうやら「第4外人連隊」から来たらしかった。僕らを迎えに来たのだ。

僕らはその軍曹と伍長の引率でバスに乗り、ビトウさんが志願した「マルムスク保養所」へ雑用に駆り出された事があった。(シンカイさんやキムラさんが言った通りここ、外人部隊は雑用ばかりであった)

到着するとここでも、空いている部屋の掃除であった。また地中海に面してとても景色が良い所であったが、その庭の草むしりもした。誰かが「カステルノダリーへ言ったらタバコが買えないらしい」と言い出したので、引率の軍曹や伍長が何処かに行っていないのをいい事に何人かと一緒に保養所の売店でマルボロを1カートン買った。当時は1カートンのマルボロは90フラン(1700〜1800円)であった。夕食に間に合うようにバスに乗った。帰りのバスでとんでも無いものを見てしまった。軍曹は着いてからずっと酒を飲んでいたようで酔っ払っていた。バスが走り出してしばらくするとその軍曹は立ち上がって乗降口の所へ行った。そして運転している上級伍長に向かって乗降口を開けさせた。と思ったら次の瞬間乗降口ギリギリの所に立ちバスが走っているのも構わず「立ち小便」を始めたのだ!歩道には殆ど人がいなかったが、さすがに信号に差し掛かるとかなりの人がいた。皆指をさして何か言ったり笑っているのが見えた・・・。僕の隣に座っていたポーランド人のアンドレスチャックはただただ唖然としていた・・・。

四六時中ふざけたり無駄話をしている何人かいるフランス人達は、軍曹と伍長が「カステルノダリー」から来たとわかると「Oui, Sergent !」(はい!軍曹!)「Oui, Caporal !」(はい!伍長!)などと、手のひらを返したように大人しくなって、いい印象を与えようと早速の「胡麻擂り」が始まっていた。こんな奴らと一緒に新兵訓練をやるのかと思うと僕は少し憂鬱になった・・・。

                                          読んでくれた人、ありがとう。