B027 2月26日(日)〜  小隊にて その2 基本教練とマクナマラ伍長

中隊の建物は「L字型」の三階建てになっていて、2階と3階部分が4つの新兵訓練小隊に割り当てられていた。L字の1辺が1個小隊であったので、廊下の角を曲がれば隣の小隊である。角の外側はそれぞれの小隊長室、廊下を挟んで角の内側は共通のトイレであった。僕らをオバーニュな出迎えに来た軍曹は隣の小隊であった。

              小隊長の中尉や軍曹たちにはまだ会った事が無い。暫くして朝の掃除の時に見掛ける様になった。

朝食は結構大きめのバゲット4人に1本、小分けになっているバターとジャムかハチミツが出た。コーヒーなどはここでも機械式であった。

たまに朝の集合の後に中尉や上級軍曹とグラウンドを走った。終わったら急いでシャワーを浴びて戦闘服に着替える。日番伍長によってだったが、たまにパンとツナ缶だったりサーディンだったりが出た。「Casse-Croute」(カス・クルート)と言って、運動が終わって課業開始前に食べる軽食が出る事もあった。朝食は相変わらず少なくて腹の足しにはならなかったので、このカス・クルートにはみんな喜んだ。

また、隊列を組んでの行進の仕方の訓練も始まった。外人部隊は、フランス正規軍より更新のスピードが遅い。外人部隊創設時には元スイス人傭兵出身者がかなりの人数いたらしく、彼らが中心となりこのようになったという事だ。だから、毎年7月14日の革命記念日の時、シャンゼリゼ大通りでの軍事パレードの徒歩行進では外人部隊が一番最後に歩く。そのあとで車両部隊がパレードを行う。自衛隊に比べてひどく遅く歩くので何度もバランスを崩しそうになった。また、自衛隊と違ってフランス軍は顎を高く上げなければいけないので余計にフラフラとした歩き方になった。みんな一生懸命やった。でも一人だけどうしても上手く行かない奴がいた。歩き始めはいいんだけれど、どういう訳か歩いている途中で右足が前に出た時に右手も前に出てしまう。日本でもよく見た事がある。最初マクナマラ伍長は「なんだそれは!」と怒鳴っていたが、本人があまりにも真剣な顔で歩いているのがあまりにも滑稽なので終いにはマクナマラ伍長も笑い出してしまった。

              外人部隊の隊歌で一番最初に覚えなければならない「Le Boudin」(ル・ブダン)も習った。メロディーは前にビデオを見せられて覚えたけれど、今度は歌詞を覚えなくてはならなかった。

                            読んでくれた人、ありがとう。