B036 野外訓練第2週目 その2 二度目の行軍

2回目の行軍だ。半長靴は以前のままだ。だが今回は少しでもダメージを受けないように、普段の半長靴用の黒い厚手の靴下ではなく運動する時に履く薄手の白い靴下を履いた。今日の先頭は中尉では無くロサ・ファテラ上級軍曹だった。出発前に「出来るだけ直線を歩き最短距離を行く!」と言った。しかし出発したらトンデモなかった。普通に道路を歩いた方がどんなに良かったことか!その出来るだけ直線のお陰で道のない藪の中を歩き山を登り1時間も歩かない内に皆疲れてしまった。足は既に痛い。足を気にしているとイライラするので他の事を考えて歩いた。

カステルノダリーまであと3キロ程に近付いた所で既に各分隊の間は離れてしまっていた。僕ら最後尾の第2分隊長のコンプ軍曹は前に追い付こうと歩くスピードを上げた。コンプ軍曹はただでさえ長身な上にその長い足で歩幅が広い上にスピードを上げたので、後ろの僕達は大変であった!追い付く訳が無い!

なんとか基地の側までたどり着いた。隊列を組んで基地の門を通るのだが僕も含めて歩き方がおかしいのが何人もいた。だいたい背嚢に入っている装備は皆一緒なのだが必要のない物も多く、訓練中なので重くなるようにしているとしか考えられない。背嚢には寝袋の他にポンチョ、替えの戦闘服、洗面用具、運動着一式、運動着、運動靴、靴下、下着などの着替え、そして2分の1のテント、携帯食料、ヘルメットなどであった。その他、弾帯にサスペンダー、弾倉ポーチ、中身は空であったが弾倉6本、銃剣、1,5リットルの水筒の他に携帯用シャベルを吊っていて、約3,7キロのFA-MASがそれに加わる。だいたい1時間に一回の間隔で5分から10分の休憩があるのだが、僕ら新米はそのせいで余計に疲れるのであった。まだ行軍のペースが分からないからだった。下士官用の教範には行軍は1時間4キロのペースで歩くように記されているのだけれど、僕らはそんなのは知らない。背嚢は重く、そのスピードを維持するのは簡単ではなかった。しかしこれも訓練だと割り切るしかなかったのは事実だ。外人部隊には「訓練は厳しく、戦闘は楽に!」という標語みたいなものがあって、確かにその通りなのだが、それは一般の連隊に配属になってわかる事で、今ここの新兵訓練では只々キツイのみであった・・・。

ロサ・ファテラ上級軍曹や2人の軍曹は何事も無かったような顔をしている。外人部隊の下士官はやはり凄いと思ったのは僕だけではあるまい・・・。

今夜も夕食はレーションであったが、前回同様熱いシャワーを浴びてベッドに入ったらあまりの心地良さにすぐに寝入ってしまった。足の方はひどい靴擦れと豆が出来ていたけれど・・・。

                            読んでくれた人、ありがとう。