人事部の調査と並行してIQのテストも行われていた。僕もそのために朝早く名前を呼ばれた。僕の他にも10人程いた。宿舎の近くの建物の1階にある講義室みたいな部屋に連れて行かれた。引率の上級伍長がいなければ、僕たちは何処へも行く事が許されなかった。
テストを行う別の上級伍長が、これからやるテストがどんなやり方なのか、答えはどこにどういう風に書いたらいいのかなどを説明した。外国人が多いので、ゆっくりと英語で説明してくれた。
1回目のテストが始まった。制限時間は20分という事だった。全部で50問はなかったように思う。終了時間が来て上級伍長が皆の周りを回って回答用紙を集める。そして彼は集め終わった回答用紙を暫く見ていた。彼が一枚の回答用紙に目を止めた。そして僕の顔を見る。驚いた顔をしていた。それは僕の回答用紙であった。そして僕を立たせて「隣の部屋で待っていろ!」と身振りを交えた英語で言った。言われた通り隣の部屋に行くとそこにはソファーがあり、テーブルには外人部隊の機関紙である「Képi Blanc」(ケピ・ブラン)が何冊か置いてあった。灰皿があったので、ゆっくりタバコを吸いながら「ケピ・ブラン」をパラパラめくって見た。表紙に書いてある「○月号」というのはフランス語だったがわかった。英語と似ているからだ。
かなり時間が経ってからまた元の部屋に戻された。僕が隣の部屋に行っている間に2回目と3回目のテストが行われたらしかった。4回目のテストが始まった。テストの内容は、何種類かの「絵」があり、その隣にはそれらの「絵」の断片がいくつもある。どの断片がどの「絵」の物なのか答えるというのだった。僕は全部終わってしまったのでその事を上級伍長に告げると「ナニ?もう終わったのか???あと7分あるぞ?」と言い、呆れたような何とも言えない顔をした。
上級伍長に回答用紙を渡して周りを見ると、他の連中はまだ半分ぐらいしか解けていない様であった。
そしてすべてのテストが終わると宿舎に戻った。
陸上自衛隊の前期教育隊にいた時もIQのテストをやった。図形の問題、簡単な計算、クレペリン検査などもやった。その時の結果は中隊で一番であった。今さっきやったテストは難しいとは思わなかったので、多分問題はないだろう・・・。
読んでくれた人、ありがとう。